2017年3月27日月曜日

ウェアラブルデバイス市場の成長について

今回の記事ではウェアラブル市場の成長について記事にしようと思います。

少し前の話になりますが会社の出張としてウェアラブル市場の講演会に参加してきました。この講演会はすべて英語で3時間という私にはかなりきついものでした。会社の金で行くわけですからもちろん出張報告書などの成果を出さなければなりません。興味あるところだけ聞いて寝てるわけにもいかず、後半はひたすらスライドの図と英語をメモる作業に必死で講演をあまり聞けませんでした。

今回の記事は自分の出張報告書のメモを元に記述しているので数値などはかなり丸めています、また英語での講演であっただけに私の語学力不足からの誤解があるかもしれませんのご注意ください。



ウェアラブルデバイスとはなにか?


ウェアラブルデバイスという言葉の定義をご存知でしょうか?今のところこれという厳密な定義はされていません、言葉通り身に着けられる電子機器はおおむねウェアラブルデバイスと言って問題ないようです。今のところ有名なのはアップルのアップルウォッチ、Fitbitのスマートバンドなどが現在のところ量販品として出回っているものです。

私が少し意外に思ったのはPSVRなどもウェアラブルに含まれるということです、もちろん身に着けているのですがPSVRを付けて外に出ることは現状出来ません、これからの課題でしょうが多少大きくても身に着ける電子機器をウェアラブルと呼んでいます。ほかにもスマホのAR、代表例はポケモンGOも今のところウェアラブル技術の一種として考えられています。

2016年はまだウェアラブルデバイスの実験中という段階で本格的な商品はまだ市場に出ていません、アップルウォッチなどはそもそも儲けるためというよりは、ウェアラブルデバイスにどの程度の需要と実力があるかを図るデータ取りという側面もあるそうです。

ウェアラブルデバイスの目標、応用範囲は?


ウェアラブルデバイスの目標はあらゆるものを小型化、軽量化そしてネットワークにつないでいくことです。通信技術などの進歩も必要になりますが今現在応用を目指している分野は医療、教育、デザイン、小売り、訓練、エンターテインメントなどかなり広範囲に及びます。

ここでは例として医療分野および映像分野のウェアラブル分野について詳しく述べたいと思います。


医療分野のウェアラブル化


医療機器は現在、大型であり動かすことはできません、さらには一つ数百万から1億円を超えるようなものまでありますが、基本的には高価なものです。

これをウェアラブルデバイスとする場合どうすればよいのでしょうか?現状SFで描かれるようなナノマシーンが傷を治すというようなところまで想定されていませんが、一番現実的な路線として血液などの検査を常時行うデバイスが想定されています。

常に血中の様々な値を測定、それをネットワークで大型の検査デバイス、据え置きのPCなどに送信し解析、異常があればスマホなどに連絡が入るというものです。このデバイスが良いのは24時間常に検査できるため突然のアクシデントに対応できることです。

検査デバイスだけでなくGPSなどの位置情報もリンクさせれば、どこで誰が倒れても瞬時にデータが救急などに伝わります、さらに本人のバイタルデータや持病、通院歴など様々な情報を医療関係者が把握できるため迅速かつ的確な医療行為などにもつながるということです。

これらの非常に個人的なデータを扱うには暗号技術やハッキング対策、データの機密性を担保するシステムも必要です、ほかにも24時間稼働するデバイスの駆動力はどうするかなどまだ越えねばならない技術課題はあるものの、そう遠くない未来には実現できると言われています。

この医療技術の主要プレイヤーは既存の医療機器メーカーになりそうですがセンサーなどは比較的小さな企業でも参入できるため、ベンチャー企業を含めたさまざまな企業の競争が起こると思われます。通信は各国の通信関係の主要プレイヤーがそのまま参入している状態になると想定されています。AT&T、Verizon、NTTなどは膨大なデータの処理技術を持っているため、このデータ量の増大という需要を取り込める位置にいるとのことです


映像技術のウェアラブル


医療技術のほかに実現が近いものもしくは実現できたものの例としてはVR・AR技術が挙げられます。PSVRなどは本格的に量産され品薄とは言いつつも100万台程度は売り上げています。今のところゲームなどの娯楽方向へ進んでいますが、これは教育や訓練や医療技術にも応用のきくものです。

VR技術を用いた市場はこれからがちょうど伸びていくところであり、技術課題はVRのデバイスももちろんなのですがコンテンツを作る側、ソフト側の作成ノウハウがこれからということがネックになっているという状態です。ハード面の問題はまだ重く大きいという課題をどれだけ解決できるかというところであり、新たな飛躍が必要というよりは、改善の積み重ねでコストと重量をどこまで下げられるかというところまで来ているそうです。

ARはGoogle Glassなどありましたが少しVRに比べると遅れ気味ではありますが、近い将来の成長が見込めるとのことです。試験的には2020年の東京オリンピックなどはひとつの見本市のような状態として活用されるのではないかともいわれてました。ARグラスを付けて看板を見るとが文字が翻訳されて表示される、競技場の道案内をAR技術で行う、警備員は危険人物などの認識ソフトが入ったグラスを付けるなど様々な用途が期待されています。

この映像技術分野の主要プレイヤーはGoogle、Intel、SAMSUNG、Facebook、htc、SONY、百度、Microsoftなどかなり多くの企業が挙げられています、私がメモしきれませんでしたが中国系の企業がかなり大きな存在となっています。この映像技術はこれからの激しい競争次第でプライヤーの淘汰が起きる状態のため、勝者はまだ予測できないとのことでした。

現状のウェアラブル市場の成長予測は以下のような形です、数字は私のメモからななのでやや不正確ですが2015年は350億$ほど、そこから2019年ごろまで年10%ほど成長、2019~2023年までは22%ほど、またそこからは10%ほどの成長になると予想されています。

2019年ごろに急激に伸びが良くなる理由ですが、2018年までに課題技術の解決とコンテンツの作成側のノウハウがある程度たまり、2019年をめどに安価なデバイスが販売されることで市場の成長が加速することが予想されています。




少し市場が出来るのが先かもしれませんが私が興味があったのが、アパレル分野でのウェアラブル化についてです。

アパレル分野でのウェアラブル化(E-textile)


アパレルのウェアラブルというのはもうすでに身に着けている服、靴などに電子デバイスを埋め込むことで本当の意味で着用する、着る電子デバイスを作る試みです。現状では素材分野の技術課題が多く、大量生産、販売されているものはありませんが実験室レベルではかなり成功しているとのことです。

素材分野のボトルネックとは何でしょうか?それは電気を流す素材、導電性素材の開発がもう少し必要であるというところです。服は着心地も必要なので30%位は伸縮性を持ちかつ引っ張ったり、圧力をかけても電気特性が変わらない素材が必要です。その上、汗や雨、静電気といった電子機器にはなかなか厳しい環境で動作を求められるため耐久性が求められています。

電気を流す回路をインクで服の上にプリントしたり、繊維に電気を流したりなどいくつか候補が挙げられていました。しかし、デバイス化に良い手法の模索中といったところです。市場としてはこれらの課題が解決してからなので2020年あたりから大量販売できるような製品が出始めるという予想です。

ここで我々化学メーカーにとってなかなか怖い予想もありました、それはウェアラブルデバイスにはLiイオン電池が使えない可能性があるということです。

Liイオン電池とは現在最も普及している二次電池、充放電が可能な電池ですがこれが使えない可能性があるという予想です。化学メーカーでこのLiイオン電池にかかわらないメーカーはほぼないといっても良いほどかかわりが深く、日本が素材で優位に立っている数少ない分野です。優位といっても韓国・中国勢に押し切られつつあるのも事実ですが……

なぜ使えないかといいますとLiは危険な物質であり、発火などの危険性を持つからです。一時期、各スマホメーカーからバッテリーの発火事故が多発したことがありました、スマホであれば最悪、煙が出た時点で放り投げるなどできるかもしれませんが(それでも大変危険です)、身に着けている服が発火したらどうしようもありません。

ほかにもLiイオン電池は電解液という液体部分を持つため、漏れるなど耐久性が不安な点があるということです。このLiイオン電池以外に使える電池の候補として固体電池というものが挙げられていました。

原理を説明するのはやめておきますが要は電解液などの液体を使わない電池です。この技術はまだまだ開発段階ですがTOYOTAなどが熱心に技術開発を行っています。TOYOTAはもちろん車用のため、大型かつ高出力の電池の開発ですが、小型のものは富士通などが熱心なようです、その他、素材側ではセラミックを扱う日本ガイシなどが研究を進めている様子です。

セラミックスは日本の得意分野でもあるので成功を祈りたいところ、固体電池はほかにもポリマー系のものを日立などが開発している様子です。このあたりの技術を日本企業が抑えることが出来るとまだまだ日本の製造業も捨てたもんじゃないと思います。もちろん世界中で競争の激しい分野なので簡単ではありませんが……

こちらの分野の主要プレイヤーはUnder Armour、NIKE、VFなどの各種アパレルメーカー、特にUnder Armourはかなり精力的に取り組んでおり、歩幅や移動距離などを計測するスニーカーなどのスポーツ分野での強みを生かそうとしている模様です。

素材側では東レなどの繊維メーカーや回路をプリントするための技術として日本ペイントなども名前が挙がっていました。


講演を受けての感想


ここからは個人の感想ですが、ウェアラブルデバイスは割と近い将来に実現される技術であるということがわかりました。映像関連はすでに実現済みともいえる段階まで来ています。技術の発展段階なのでこれまでの大企業は資本の力で対応し、ベンチャーなどはアイディアと小回りの良さで市場の成長を取り込もうとしています。

かなり有望な市場であり、多くの企業が血眼になって開発している理由はわかりました。少し残念なのは日本企業は周回遅れ状態であるということです、素材は何とか同じ土俵に上がっていますが、ソフト面では日本は全く追いつけていません、話で出てくるのはやはりGoogle、Apple、Amzon、Microsoftなどの欧米系、SAMSUNGなどの韓国系、テンセントや百度などの中国系です。少しSONYや富士通などの話がでましたが、なかなか厳しそうな印象です。

データ産業において日本は周回遅れ以上に遅れていることは認識しなければなりません、ソフトバンクあたりの攻勢がどこまでいけるのかは淡い期待をもって見ていますが、少し厳しいかもしれません

中国系の企業の勢いはすさまじく今現状でも日本よりも高いところにいるのに、これからまだまだ投資を拡大させる様子を見せているとのことでこりゃかなわんといったところです。アメリカと中国を二大巨頭として進んでいるのは国際政治だけでなく科学技術もなのだということを改めて認識させられます。医薬品などはまだ日本は頑張っているのですがそれがいつまで維持できるかはこれから次第ということでしょう

あとは完全に蛇足ですがコンサルタントの公演だったので大量のデータが出てきたのですが一部、数字が公開されずほしければデータ集を購入してくれと言われました。後で調べるとひとつ100万円以上!?、コンサルタントはもうかりますねw

もちろん死ぬほど大量のデータを集め、分析し、結論を出すわけですから、貴重なものなのです。しかしビジネスとしてみるとデータは在庫もいらなければ、問題があったときの修正も可能です。一方のものづくりでは原材料の確保、作ったものを保管する倉庫、安定供給するための在庫の確保、トラブルがあれば回収します。改修費用はもちろん相手に損害が出た場合は補償なども必要です。データであればアップデートと称して回収せずに、不具合を治し、メンテナンス費用としてお金を徴収することもできます。

ものづくりとはなんて非効率なビジネスでしょう、給料がコンサルと比べ安いわけだと納得します。日本にデータのインフラ産業(Google、Apple、Microsoftなど)で世界的な企業がないのは、稼ぎの観点からするとお話になりません。

日本の製造業はそもそもビジネスとして稼げないから、各国企業の参入が少なく競争があまりなかったため生き残れたのかもしれません。そんなことを言っても私も製造業の一員ですから必死に食らいつく努力をするしかないのでしょう。製造業はこれからますます厳しい状況が予想されますが、自分にできることが少ない以上ゆるりと頑張っていくしかありません。

投資家の観点からすればやはりどこにでも主要プレイヤーとして現れるGoogle、Intelあたりは気になるところ、さらには各国の通信技術を持つプレイヤーのうちどの企業の技術が世界標準になるのかは気になるところ、予想は難しいですがウォッチしていこうかと思います。



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